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【セミナーレポート】朱宮令奈さんによる「翻訳者として長く稼ぐための戦略+マーケティング翻訳でいちばん大切なこと」

【セミナーレポート】朱宮令奈さんによる「翻訳者として長く稼ぐための戦略+マーケティング翻訳でいちばん大切なこと」

みなさん、こんにちは。ランサムはな運営局です。

本日は、朱宮令奈さんを講師にお迎えし4月14日(日)に開催された翻訳塾・メルマガ読者限定セミナー「翻訳者として長く稼ぐための戦略+マーケティング翻訳でいちばん大切なこと」のレポートをお届けします✨

講師:朱宮令奈さん プロフィール====

英日のフリーランス翻訳者/校閲者/QA担当者。ITマーケティング&ホテルマーケティング分野が専門。
翻訳には品質を、事務作業には効率化を追求し続けて20年近くになる翻訳者。
文学部英文学科を卒業後、予備校講師(英語・社会)、カナダ留学(通訳翻訳専門学校に通学)を経て、20代で翻訳者に。フェローアカデミーの翻訳通信講座「マスターコース『IT・マーケティング』」2022年度講師。2023年Human Powered「エンタメ・産業字幕&マーケティング翻訳セッション」のほか、JTF翻訳祭やJAT TACセミナーなど、数々のセミナーで登壇。通訳・翻訳WEBのコラム連載「メールに素早く返信するコツ」(2023年改訂、全10回)を執筆。翻訳実務士(IT)。

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セミナーの第一部である「翻訳者として長く稼ぐための戦略」では、「長く稼ぐとはどういうことなのか?」など目標の解像度を上げた上で、具体的に行動に移せる方法の例を挙げながら説明してくださいました。中でも、海外の取引先とのやり取りにおける「ホフステードの6次元モデル」の活用は目から鱗でした。ホフステードの6次元モデルとは、「権力格差」、「集団主義/個人主義」、「不確実性の回避」など6つの指標で各国の傾向を知ることができるものです。この各国の傾向をビジネスの進め方に当てはめ、実際のやり取りに活かすことができるのです。取引先の国の商文化についてなんとなく持っているイメージを頼りにするのではなく、数値化された指標をもとにその国に適したコミュニケーションを取るというのは効率的ですね。

第二部の「マーケティング翻訳でいちばん大切なこと」では、実はあいまいなマーケティング分野の定義から、文脈に沿った訳文を出すために具体的にできることなど翻訳学習者にもわかりやすく解説していただきました。例えば、「I am a cat.」という一見、単純な原文でも、文脈によって「わたしはねこ」、「猫は私!」、「私、ネコなんです」、「吾輩は猫である」など最適な訳文は文脈の数だけ存在することを示してくださいました。

本セミナー後には、朱宮さんが参加者から事前に出た質問一つずつに回答してくださったファイルも配布されました。朱宮さんによる丁寧で真摯なアドバイスの一部をご紹介します

(質問)翻訳学習者です。2児の母で、育児の隙間時間に勉強しています。おススメの勉強法はありますか?今は翻訳の基本について解説している本を独学で勉強していますが、独学でやるより通信講座など添削してもらいながら勉強した方が良いでしょうか?どんな勉強法が良いのか分からず、手探りでやっている状態です。

(回答)個人的には、通信講座などで添削してもらうのが良いと思います。誰かに見てもらった方が、どこをどうしたらいいのか、というのが分かりやすくなります。後は、Ameriaの定例トライアルも良いと思います。もちろん、講座を受講せずに翻訳者になった方もたくさんいるので、一概には言えませんが、個人的にはフェローアカデミーなどの講座を取るのが近道かなと思います。もしも英日翻訳者や日英翻訳者を目指していて、英語力がTOEIC換算で900点程度ないのであれば、まずは英語力を上げるのが近道だと思います。英語力を上げるための勉強→翻訳の通信講座(全般的なもの)→翻訳の通信講座(専門分野のものをいくつか)→大まかに自分の専門分野を決める→専門分野を本で勉強→翻訳者デビューのような流れが良いかなと思います。


(質問)翻訳速度を上げる方法を教えてください。1年前は800ワード/日で、現在は1000ワード/日になってきました。

(回答)お悩み、非常によく分かります。私も速度が遅いことが悩みでした。やっと人並みの速度になりましたが、それでも速い方ではありません。速度は私も色々考えたのですが、結論として翻訳そのものの速度を上げようとはあまりしない方が良いと思います。翻訳自体の速度を上げようとすると、どうしても訳し方が雑になってしまい品質が下がってしまうと思います。それでは元も子もないです。翻訳自体の速度を上げるのではなく、周辺業務にかかる時間を上げることをまずは考えるのはいかがでしょうか。たとえば、取引先とのやり取りにかかる時間、請求書を作る時間、などです。取引先とのやり取りではたとえば定型文をストックしておくとかも良いでしょうし、請求書や帳簿付けは何か自動化できれば自動化するのが良いと思います。私はそうしています。で、翻訳自体の速度は、長い年月をかけるうちに必ず上がってきます。だから、それを待つのが良いと思います。

(質問)マーケティング分野のトライアルで気をつけるべきことやコツなどがあれば、教えてください。

(回答)「思いっきり意訳しても大丈夫です」と言われた場合も、「意訳しすぎない」というのがコツでしょうか。私はマーケティング分野のトライアルを受けるときに、高確率でこの言葉を言われるんですが、これはワナです(笑)。相手が言う「意訳」とは、「日本語として分かりにくい文(直訳調)ではないもの」という意味です。「原文から逸脱したもの」という意味ではないです。トライアルはいつも以上に、原文から離れない訳文を作るのが受かるコツです。「原文から離れていないけど、分かりやすくて自然な訳文」というのを目指すと良いと思います。

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(執筆:運営局 田中三保子)

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