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フリーランス翻訳者が社内翻訳者をやってみて思ったこと

皆様、こんにちは~・・・
ちょっと間が空いてしまいました。
お元気でお過ごしでしたでしょうか?
・・・さて、私が某企業(翻訳会社ではありません)の社内翻訳者になって、二年になります。
二年前、私は、ある特殊な事情で、社内翻訳者の求人に応募しようと決めました。
「特殊な事情」というのは、米国の医療保険です。
ご存知の方もおられるかと思いますが、米国は医療費が法外に高く、日本と比べるとゼロの数が2つか3つ違います。
それでいて、国民健康保険に相当する保険はありません。
長年日本に住んでいて、医療保険の加入実績がなかった私たちは、米国に戻って来た当初、民間の医療保険を申し込んでも、審査で落とされていました。
そこで、企業が福利厚生の一環として提供している団体医療保険に入れていただくしか、実績を作る方法がなかったんですね。
二年間の加入実績を作れば、民間の医療保険に加入しやすくなる、という話でした。
国民皆保険を定めた「オバマケア」が発動する、少し前の話です。
まあ、そう言ったやむを得ない事情で、就職したわけです。
翻訳者は通常、社内翻訳者を経験した後、フリーランスとして独立、というコースを辿る方が多く・・・
私みたいに、フリーを20年近くもやった後で、社内翻訳者をやるというケースは、極めて稀と思われます。
しかし、実際に経験してみて思うことは・・・
こんっなに仕事の内容が違うとは思わなかった。

もう、ほんとに同じ仕事ですか?って言いたくなるぐらい。
水と油ほども違う。
知ってたら応募してなかったんじゃないか・・・と思うぐらいです。
やってみる前は、社内翻訳者とフリーランス翻訳者の違いって・・・
社内翻訳者は特定の製品のマニュアルを翻訳するから、1つの製品を深く知ることになる。
一方、フリーランス翻訳者は、幅広い分野に広く浅く対応しなければならないので、臨機応変な翻訳力が求められるところが違うかな?
・・・ぐらいに、簡単に考えていました。
あとは、社内翻訳者は会社員だから月給制だけど、フリーランス翻訳者は出来高制だから、収入が一定する、しないの違いはあるだろうなぁ。
・・・でも、基本、「翻訳者」って言ったら、翻訳するのが仕事ってところは同じでしょ?
それぐらいの認識しかなかったんですよね((-_-;))。
その一方で、社内翻訳者がフリーとして独立したときに、誰もが成功するわけではない、という話も聞いていて・・・
その点については、何となく想像できたんです。
だってフリーの場合、翻訳をやっていればいいだけじゃなくて、仕事を取って来たり、価格を交渉したり、「営業」的なことをしないといけないですからね。
請求書を出したり、帳簿をつけたり、「お金」がらみの作業も自分でしないといけません。
商人みたいなこともしないといけない・・・というのは、経験がないと、抵抗を覚える人もいるだろうと思いました。
あとは、取引先をどうやって開拓するか?
どうやってリピーターのお客さんを増やすか?
複数の案件の打診が重なって、スケジュールがかち合ったときにはどうするか?(どういうわけか、忙しいときって重なるので・・・)
クレームや問い合わせが来たときにはどう対応するか?
どうすればお客さんを喜ばせ続けることができるか?
・・・などなど、翻訳以外に「事業主」としての判断力と行動力が求められるので・・・
翻訳が上手でなければならないというのは大前提だけど、営業マンやカスタマーサービス担当者みたいなこともこなさないといけないから、向き・不向きがあるだろうな、というのは理解できました。
だけど・・・
社内翻訳者っていうのも、すごく向き・不向きがありますねぇ。
私にはつくづく向いてないと思う(泣)。
そもそもびっくりしたのは、翻訳そのものをやってる時間が圧倒的に少ないことです。
翻訳なんて、全体の作業の20%ぐらいかな?
で、あとは何をやってるかというと・・・
社内ツールの不具合をエンジニアに報告するためのバグレポートを書いたり、
画像ソフトでマニュアルの挿絵部分に翻訳を入れたり、
山のようにスクリーンショットを撮ったり、
印刷屋さんみたいに印刷物のレイアウトを整えたり、
必要に応じてヘルプをコンパイルしたり、
膨大な数のファイルをアップロードしたりしてるんですよねぇ。
使っているソフトからして、翻訳ソフトと全然違う。
これだったら、「翻訳者」っていうより、「テスター」って言った方が正確じゃないですか?
・・・って思っちゃうぐらい、翻訳には無頓着でね。
さらにまずいことに、私あいにく、そういう周辺作業って、すごい苦手なんですよ(泣)。
長いこと文字ばかり見て来たから、誤字脱字や誤変換はすぐ見つけられるんだけど・・・
ここではそういうことよりも、英語と日本語のスクリーンショットを2つ並べて、片方には枠が付いてるとか付いていないとか、そういうことを見分けられることの方が大切みたいなんですね。
もう、何度叱られたことか。
社内ツールのバグ報告にしたって、エラーが出ても、何が悪いんだかさっぱりわからない。
市販のソフトと違って、マニュアルもないですしね。
使い方を教えてくれる人もほとんどいない(メーカーさんのせいか、寡黙な人が多いんです)。
で、エラーを再現しろとか言われるんだけど、うまく説明できない。
「社内ツールは完成度が低いんだから、絶対に信頼してはダメです!」とか、「再現/説明できない不具合は、人的ミスです!」とか言われるけど、どうやったらそうなったか思い出せないから、再現できないの(泣)。
いや~、こんな謎解きみたいな作業、よくできるなぁと思う。
こういうことをできる同僚はすごいなあ。
ほんと、脱帽ですよ。
いやはや・・・。
社内翻訳者がフリーになっても成功するとは限らない、と言われているのは知ってたけど・・・、
同じように、フリーの翻訳者が社内翻訳者をやっても、成功するとは限らない・・・ということが、身を以てよくわかりました。
もちろん、会社によっても事情は違うかと思いますが・・・
これだけ仕事の内容が違うんじゃねぇ。
いろいろ勉強になったとは思うけど、私的には、やっぱり翻訳の質にこだわって・・・
言い回しがどうだとか、用語がどうだとか、読みやすい文章について、
仲間と熱く意見を交わしながら、バリバリ翻訳をこなす方が、自分には向いているし、幸せだなと思うんですよね。
二年間の医療保険加入の実績もできたことだし、そろそろ潮時かな・・・と考えている、今日この頃です。
また追って報告しますね。
お読みいただいて、ありがとうございました。

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フリーランス翻訳者が社内翻訳者をやってみて思ったこと」への3件のフィードバック

  • baba-neko

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    米国の健康保険制度ではそんな規定があるんですね。初めて知った。
    社内翻訳の件、私が経験しているのは IT 系でもメーカーではないし、10年以上前までの経験だからまったく違うものだけど。
    やっぱり翻訳者は翻訳をやってなんぼ。
    健康保険加入の資格ができたのなら、フリー転向は大賛成。まあ、ご主人がどう考えているのかもあるかも???
    以前の翻訳会社さんとか直クラさんとか、連絡して、ジョブを確保できる状態にすることが大切なのかな。きっと大丈夫!

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    >baba-nekoさん
    >米国の健康保険制度ではそんな規定があるんですね。
    2013年にオバマケアが施行されてからは、保険会社が審査で落とすということは基本できないことになったらしいので、もっと早く申し込んでも加入させてもらえたのかもしれないのですが、とにかく導入されたばかりの新しい制度なので、何か落とし穴があっても困ると思って、万全を期して二年はがんばろうと思いました。でも、適材適所と言う言葉があるけど、ほんとにこの仕事は場違いだと思うことが多く、いいとこなしだったので、もういいかな~と思っています。フリー転向を応援してくださって、ありがとうございます!

  • 管理人

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