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アメリカやイギリスの会社で働いて思ったこと(2)

前回、アメリカやイギリスで翻訳者として仕事をすると、何かと釈明に追われるという話を書いた。
日本語の読み書きができない人に状況を説明しなければいけないわけだから、面倒だけれどもやむを得ない、仕事の一部だ。
しかし、日本語が通じれば万事うまく行くかというと、話はそう簡単ではない。
実は、こういうところで働いている日本語翻訳者にも、本当にいろいろなタイプがいる。
現地採用で、現地の人と結婚をして家庭を築き、自宅での会話は全部英語で、20年近くも一度も日本に帰っていないような、限りなくアメリカ(イギリス)人寄りの日本語翻訳者もいれば、労働ビザを取得して日本から来たばかりで、英語のコミュニケーションに四苦八苦しており、実力はあるのにアピールできずにもがいているような、ナマの日本人の翻訳者もいる。
こういう「英語ができる日本人」と「日本語がわかるアメリカ(イギリス)人(←現地の国籍を取得したため)」が、「日本語翻訳者」としてひとくくりにされているわけである。
両者が会話をしているのを聞くと、日本語と英語がチャンポンで飛び交っていて、ちょっと独特な雰囲気である(インターナショナルスクールって、こんな感じなのかな?と思う)。
この二者の翻訳を比べてみると、微妙に言葉の選び方や文章の組み立て方が違う。
アメリカ人寄りの翻訳者は、全員が全員そうだとは言わないが、日本語を日常的に使う機会が少ないので、どうしてもカタカナが多くなりがちだし、どちらかというと直訳傾向が強いように思う。「ノートパソコン」を「ラップトップ」と言ったり、「彼」「彼女」と平気で使ったり、英語の影響を強く受けている。
「そういう言い方、日本ではしないのにな~・・・」と、内心思ってしまうこともある。
ところが欧米では、たとえ翻訳はイマイチでも、アメリカナイズされていてプレゼンテーションや自己アピールが上手であれば、こういう人の方が上司の受けもよく、高く評価されたりする。
上司にしてみれば、日本語がわからないのだから、他の部分で評価するしかないのはしょうがないが、仮にも翻訳者の評価をするのに、翻訳さえ上手であれば・・・という論理が通用しないのが、欧米の会社の難しいところだと思う。
ナマの日本人の翻訳者は、翻訳はとても上手なのだけれど、おとなしいために十分に評価されなかったり、エンドクライアントや他の翻訳者から好意的なフィードバックをもらって、ようやく実力を評価してもらえたりする。実力は高いのに、長いことそれを認めてもらえないのは残念な話だと思う。
これから海外へ出て行くことを考えている方は、翻訳のスキルを磨くだけでなく、ビジネスマナーやプレゼンも勉強しておくと、あとで大きな差がつくのではないかと思います。

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