みなさん、こんにちは。ランサムはな運営局です。
本日は、ストアカやUdemyでも人気講座を手がける翻訳ジャーニーさん(五野上良さん)を講師にお迎えして8月3日(土)に開催したセミナー「ケーススタディから学ぶ翻訳まわりのテキストを上手に扱う方法 ~テキストを制するものはテキストを制する~」のレポートをお届けします。
==講師:翻訳ジャーニーさん(五野上良さん) プロフィール===
フリーランス英日翻訳者、翻訳講師。分野はIT系マーケティングや産業字幕など。「良いものを速く」を心がけて翻訳歴は20年弱。3児の父。
============
やさしい翻訳塾でジャーニーさんをセミナー講師としてお迎えするのは今回が三回目です。翻訳者がすぐに実践できるテクニックをわかりやすく教えてくださるその講義は毎回大好評で、今回も多数のお申し込みをいただきました。
「良いものを速く」。ジャーニーさんが仕事をする上で心がけていることです。仕事のスピードと品質は反比例しそうな気もしますが、ジャーニーさんはセミナー冒頭でこのように話してくださいました。「『スピードを上げる』イコール『品質を上げる』だと思っている。限られた稼働時間の中で何かの作業のスピードを上げられるということは、それだけ多く考えられる、それだけ多く調べ物ができる時間を増やせるということにつながる」
セミナーでは、初心者でもすぐに試せるような「複数のPDF資料の検索の仕方」、「訳文の差分を素早く比較する方法」から、品質を上げるための費用対効果が高い「訳文をレイアウトに載せる方法」や、プログラミングを活用した「請求書作成などのルーチンワークでウェブページの特定部分を正確にコピーする方法」など作業効率を高めるための幅広い技術をご紹介くださいました。
ジャーニーさんは翻訳者として約20年の経験をお持ちですが、セミナーでご紹介いただいたような内容をどのようにして学ばれたのでしょうか?また、駆け出し翻訳者が実務で作業効率の課題に直面したときに、解決策にたどり着くためのヒントをジャーニーさんに伺ってみました。
===ジャーニーさんの回答====
(セミナーで紹介した内容は)すべて独学です。プログラミングなどのバックグラウンドはありません。ネットで調べて出てきたものを改造しています。今はChatGPTなどに聞くと作ってくれるので便利だと思います。1)単純手作業が苦手で、2)十分な作業時間を確保できない(家庭の時間を増やしたい)という動機があったことが大きいと思います。
テキスト系の問題解決について言えば、翻訳経験年数は関係ないと思います。また、 基本的に「自動化できないものはない」くらい考えて良いと思います。
- どれくらい頻繁にその作業をするのか
- どれくらいの時間がかかっているのか(=どれくらい時短できるのか)
- それが自動/正確になることでどれくらいの品質が上がるのか
- 問題解決がどれくらい複雑そうか
- 元データがきれいにフォーマットされているのか
- ただのテキストファイルなのか、複数のアプリが関係するのか
- Webがからむのか、などなど
上記のパラメータをみて、「時間がかかっていて、品質アップに役立ちそうで、技術的に簡単そうなもの」から順に取り組んでいくと良いでしょう。究極的には1)パターンを見抜くこと、2)それを再現すること、の2つです。1つできれば、それを応用する方法はたくさんあります。応用の過程で、新たな課題にぶつかり、それを解決することでまた応用の幅が利きます。
セミナー内でご紹介いただいた10個ほどの技術は(ほかにも作られたものが多くあるものの)20年かけて作られたのだそうです。20年の間に蓄積された知識と技術を惜しげもなく共有してくださったジャーニーさん、ありがとうございました!
アーカイブ動画はメールでのご案内から1ヶ月限定で視聴可能です。ライブで参加された方もセミナー後に配布された資料とともにぜひ復習してみてください。
テキサス発やさしい翻訳塾は、現在開講中の第11期も残すところあと2回となりました。やさしい翻訳塾では、現役受講生は無料または割引料金で受講できるベテラン翻訳者などによるセミナーを定期的に開催しています。ご興味のある方は、第12期(10月開講予定)でぜひお会いしましょう!
(執筆:運営局 田中三保子)