みなさん、こんにちは。ランサムはな運営局です。
本日は、日本時間3月10日(日)に翻訳塾受講生/修了生・メルマガ読者様限定で開催した、糸目慈樹さんによる「翻訳者のための正規表現講座」と、糸目さんの講座の前座として、翻訳塾修了生でもある佐々木松典さんによる「WildLightのデモ」のレポートをお届けします。
==講師:糸目慈樹(いとめ しげき)さんのプロフィール=====
大阪の特許事務所で15年以上インハウス翻訳者として勤務し、現在主に特許翻訳を専門とする翻訳会社を経営。同時に、memoQ社の一員として、日本でのユーザーサポートも行う。
==前座スピーカー:佐々木松典さんのプロフィール=====
1959年 富山県南砺市生まれ。大学、大学院で土木工学科を学び修了後、富山県庁にて土木職として、公共工事に携わる。2020年に退職して2022年から本格的に実務翻訳を始める。分野はIT、建設、エネルギーなど。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
WildLightは翻訳チェックツールのひとつで、“Terry Saito”のニックネームでよく知られる翻訳者の齊藤貴昭さんが作成したWindows版Microsoft Word用の無料アドインです。佐々木さんによるデモでは、WildLightの具体的な活用方法を実演を交えてご紹介いただきました。
翻訳案件などのスタイルガイドから、検索・置換したい文字列のファイル(辞書ファイル)をあらかじめ作成しておき、WildLightのアドインを追加したWord上で実行すると、目視では難しいアルファベットや数字の半角/全角などの識別、置換が簡単に行えます。
(「WildLightデモ」佐々木さんによる実演の様子)
15分という短い時間のなかで、実際にWildLightを使ってみるのに必要な情報を凝縮して説明してくださいました。
正規表現とは、「文字列のなかから、指定したパターンとの一致を検索する仕組み」を指します。(日本翻訳連盟JTFジャーナル“翻訳の手作業を効率化する「正規表現」”より)正規表現を使えば、訳文のなかに、同じ単語や用語に対していくつものバリエーション(揺らぎ)があったとしても(例:Player →プレイヤー、プレイヤ、プレイアー、プレイア)、一度の検索・置換で統一させることができます。
糸目さんは、正規表現を使いこなせない人が多い理由として、「説明サイトやセミナーは数多く存在するものの、それらは多くの場合正規表現の記号の意味と使い方のみに徹底している場合が多いから」だとおっしゃいます。
今回の糸目さんの講座では、正規表現を使いこなす第一歩として重要なのは「まず文字パターンを見つけ出せるようになること」だとして、文字パターンを見つけるには共通部分と変動部分を区別し、変動部分がどのように変動するか、どのようなパターンがあるかを分析する方法を具体例を挙げてご説明いただきました。また、使い始めは簡単なパターンから「正規表現で一括修正できるかも」と意識して試してみることや、自分の環境にあった早見表をネット検索で見つけて保存しておくことなど、アドバイスをいただきました。
(「正規表現講座」 糸目さんによる実演の様子)
参加者からは、「実践編(応用編)があれば受講したい」と続編講座を望む声も多くいただいているほか、
「翻訳の種類によっては、かなり効率や正確性を上げることのできるツールであることがわかりましたし、もし今後いろいろな翻訳に関わることができれば、どこかで必ず役に立つ内容だと思いました。(M.O.さん)」
「非常に参考になりました。具体的には、翻訳後の訳文を効率的にチェックできると思います。(T.O.さん)」
などの感想をいただいております。このたびは、たくさんの方にお申込み・ご参加いただき誠にありがとうございました!
また、今回のセミナーをきっかけに、翻訳塾コミュニティのチャットグループでは翻訳ツールを実際に使ってみて質問したり教えあったりできるお部屋も立ち上がりました。
テキサス発やさしい翻訳塾では、今回のような翻訳業界で活躍する大先輩をお招きし、受講生/修了生とメルマガ読者様限定でセミナーを定期的に開催しております。
やさしい翻訳塾は現在第10期を開講中で、5月から開講予定の11期は先行お申込みを受付中です。
「翻訳塾への参加は考えていないけれど、セミナー情報を受け取りたい」という方は、メルマガをぜひご登録くださいね😍
【お詫び】3月18日掲載時点で「WildLight」、「日本翻訳連盟」の表記に誤りがありましたので訂正いたしました(3月23日)。
(執筆:運営局 田中三保子)