みなさん、こんにちは。ランサムはな運営局です。
本日は、日本語品質コンサルタント(R)の磯崎博史さんを講師にお迎えして6月22日(土)に開催したセミナー「磨こう!あなたの日本語力 ~語順と読点を中心に~」のレポートをお届けします。
==講師:磯崎博史さん プロフィール===
茨城県水戸市生まれ、東京育ち(三鷹市出身)。日本大学文理学部国文学科卒業後、出版社などでの勤務を経て2003年に校閲者として独立。以来、約10年で200冊以上の書籍の誕生に携わる。現在は、企業内で記される文章の品質向上を支援する日本語品質コンサルタント(R)として、「必ず伝わる文章」を書くためのセミナー・研修で講師を務める。さらに、近年は日本翻訳連盟(JTF)主催「日本語ブラッシュアップセミナー ~表現重視編~」や翻訳学校サン・フレア アカデミー「日本語ブラッシュアップ講座 ~アドバンス編~」で講師を務めるなど、翻訳者の日本語力向上を支援する活動に力を入れている。最新の自己定義は「文章のお医者さん」。趣味は将棋&卓球観戦、読書、音楽鑑賞など。
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やさしい翻訳塾で磯崎先生をセミナー講師としてお迎えするのは今回が3回目です。前2回は塾生と修了生に限定して開講しましたが、今回は受講対象をメルマガ読者様まで拡大し、多くの方にご参加いただきました。
本セミナーで磯崎先生はまず、「語順が主、読点は従」であると強調されていました。これは、「語順を先に整えてから、読点の挿入を考える」ということですね。「語順がよければよいほど、読点の出番は少なくなる」ともおっしゃっていました。
ふさわしい語順にするためには、
- 修飾語と被修飾語を近づける(例)必ずアップデートを行う前に、アプリケーションを終了してください。→ アップデートを行う前に、必ずアプリケーションを終了してください。
- 修飾語は長い順に配置する(例)長いヘビー級の歴史の中でも、やはりマイク・タイソンが最強だというのがボクシング界の定説です。→ ヘビー級の長い歴史の中でも、やはりマイク・タイソンが最強だというのがボクシング界の定説です。
の二大原則をしっかり押さえる必要があります。これらを軸に、助詞の変更や削除によってスッキリした文にする方法も、わかりやすい例文を用いて解説してくださいました。
次に、読点について磯崎先生が強調されたのは、
- 読点は必要な箇所だけに打つ(「必然性のない読点は絶対に打たない!」)
- 「誤読を防ぐ」を常に意識に入れて読点の挿入を考える
というものでした。磯崎先生いわく、「読点一つで読み手にはひらがな2文字から2.5文字分くらいの負荷がかかるので、読点を打てば打つほど読み手の時間とエネルギーを消費してしまう」そうです。
読点の打ち方の二大原則は、
- 「長いかかる言葉が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ」
- 「語順が逆順の場合にテンをうつ」
(朝日新聞出版発行『中学生からの作文技術』より)
というもの。また、一文における強調具合やニュアンスを読み手に伝えるためのスキルとして、読点と助詞を入れ換える方法も解説してくださいました。読点が文に起伏を付けて強調する役割を担うのに対し、助詞は文をなだらかにする効果があるんですね。以下の二つの文を比べると一目瞭然です。
○○さんの言葉、深く響きました。
○○さんの言葉が深く響きました。
今回のセミナーのテーマである「語順と読点」を、日本語を母語とする私たちは(あまり深く考えずとも感覚だけで)正しく配置・活用できていると思いがちではないでしょうか? しかし感覚だけに頼ると、長くて複雑な文を書く際に混乱しやすくなります。また、翻訳者は「どうしてこの訳にしたのか」を常に説明できなければなりません。今回のセミナーは、「読み手に伝わりやすい文章を書くためには、日本語の原理原則をきちんと理解して身につけることが不可欠だ」と再認識する貴重な機会となりました。
セミナーの最後に、磯崎先生からこのようなメッセージをいただきました。
文章は人柄と同じ。いくらでも磨きをかけていくことができるんです。改善の道に終わりはありませんから、楽しみながら日本語を磨く力を上げていってほしいと思います。そして、私たち一人ひとりがきょうを起点として、それぞれの仕事で「Excellent」を目指して邁進していきましょう。
磯崎先生、セミナーにお申し込みいただいたみなさん、ありがとうございました。楽しみながら、日本語力を向上させていきたいですね✨
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(執筆:運営局 田中三保子)
(監修:磯崎博史)