サウスウェスト航空の共同創立者であるハーバート(愛称ハーブ)・ケレハーは、独自の哲学を持っていた。
人生は、短くて辛くて、深刻だ。だからこそ楽しまなければ。
空の旅を最大のショーにして、お客様に楽しんでいただこう。
そこでケレハーは、創業当時にはチアリーダーやバニーガールの経験がある女性を優先的に雇った。社交的で接客が好きで、健康的な色気のある女性。プレイボーイ誌の専用ジェットに搭乗するバニーガールの審査員も選考に駆り出されて、美脚の女性を採用したという話も聞く。今ならセクハラになってしまうかもしれないが、当時はオジサマに好評だった。
その他には、男女を問わず、ユーモアがあることが重要な採用条件になった。
ただでさえ、客室乗務員の仕事はストレスが多い。緊張したり萎縮していたら、咄嗟の機転も利かなくなる。
採用試験には、職場の危機や緊急事態をユーモアで乗り切った経験があるかどうかを聞く項目があったそうだ。
もう1つの条件は、心が温かく、思いやりがある、ということだった。「自分はXXだから、専門外の仕事はしません」なんてプライドの高い人はいらない。機長であろうが副操縦士であろうが、手が空いていたらさっと車椅子を押したり、荷物の手伝いや掃除ができる人。
さらにケレハーは、持って生まれた人の資質を変えることは難しいから、その資質を最大限に活かしてほしいと考えた。
その人の持ち味を生かし、「世界に1つだけの花」を伸び伸びと咲かせることで、その人の持っている長所が最大限に発揮され、お客様の心に残る精一杯のおもてなしができると考えたのだ。
こうして、サウスウェスト航空の社員には、サービス精神が旺盛で、お客様を笑わせることが大好きな、ユーモアたっぷりのエンターテイナーが集まった。
ネットでいくつか例を拾ってみました。
★パイロットがずっと左右の景色の観光案内をしてくれる
★「ビーフにしますか? チキンにしますか?」と言いながらピーナツを配る
★客室乗務員がサウスウェストを称える替え歌を熱唱する
★大手航空会社が短距離シャトル便に参入したときに、戦闘態勢として迷彩服で出社
★機長が「シートベルト着用のサインが消えたので、これから僕も自動操縦に切り替えて、操縦席を離れます。残りの時間は皆さんのところへ行って一緒に過ごしますね」とアナウンスする
★「ライバル会社に満席と思わせるために、皆さん窓際の席へお移りください」と言う
★「おタバコを吸いたい方、当機の喫煙スペースは機外の翼の上です。翼でタバコを吸うと、機体が煙になってしまいますのでご注意を」とアナウンスする
おそらく全部アドリブだろう。
だが、一貫して共通しているのは、サウスウェストへの愛社精神とお客様へのサービス精神。
そして、大手ライバル会社への対抗意識がむき出しですね。
ジム・キャリーやロビン・ウィリアムズも顔負けのパフォーマンスを披露してくれる客室乗務員もいる。
参考までに、日本語字幕付きの動画が見つかりましたので、よかったらぜひご覧ください。
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ラップで機内アナウンス(日本語字幕つき)The Rapping Flight Attendant
いや~、こんな社員ばかりだったら、アナウンスのマニュアルなんてバカらしくなっちゃいますね。
私が経験した、緊急時の「考えるのもダメよ」アナウンスは、サウスウェストではごく普通の対応だったのだ。
ウン十年も前のアナウンスを覚えていたぐらいだから、他では味わえない「心に残るおもてなし」であったことは間違いない。
・・・とは言え、いくら冗談好きなアメリカでも、こういうおもてなしを喜ばないお客も存在する。
「羽目を外し過ぎ」「ふざけすぎ」と、不快感を示す乗客も中にはいた。
苦情が会社に寄せられることもあった。
しかし、そんな苦情を受けて社員に規律を押し付けるのは、ケレハーの望むやり方ではなかった。
そこでサウスウェストは、ここでもまた他社とは異なる対応をした。
・・・ということで、続きはまた明日。
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更新チェックしてました(*^_^*)自分とは違う考え方や書き方が参考になりました☆よかったら、私のブログにも是非遊びにきて頂けると嬉しいです!
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記事拝見しました!また、遊びに来ます☆次の更新も楽しみにしています♪