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翻訳者とシェフとの共通点

食べることは好きですが、料理は苦手な私。。。
そんな私がこんなことを言っても的外れかもしれませんが、翻訳って、シェフの仕事に似ているところがあると思います。
原文という「素材」をいただいて、それを工夫して「調理/アレンジ」して、お客様に出す・・・というところが似ている、と思うからです。
意味を正確に伝えることは大前提ですが、それ以外にも、文体をどのようにしようか?とか、言葉の選び方とか、書き方によって仕上がりに差が出てくる。
「This is a pen」
という文があっても、
「これはペンだ」
「これはペンです」
「こちらはペンでございます」
「こちらがペンになります」
など、特に日本語の場合、いろいろな伝え方やスタイルがあるじゃないですか?
できる限りの背景事情を集め、前後関係から判断して、状況にふさわしい文章にすることも、翻訳者の仕事の一部だと思います。
「これはペンだ」で十分満足だと思う読者もいれば、
「こちらがペンになります」と言ってもらわないと気を悪くする読者もおられると思います。
お料理の場合も、同じ食材を体に取り入れるにしても、調味料の使い方や加熱方法によって、いろいろな味わい方があるじゃないですか?
すごく似ていると思うんですよね。
産業翻訳は、情報の鮮度も大切だから、食材の鮮度が大切な部分もお料理と似ているような気がする。
さらに言えば、翻訳者の中には、お料理で言うなら「板前さん」みたいに、特別な訓練を受けて、特殊ジャンルで他の人にはマネのできない専門性の高い翻訳を提供するタイプと、「ファミレスのシェフ」みたいに、カレーでもかつ丼でも和洋問わずなんでも幅広く手掛けてそこそこのレベルに仕上げるけど、何か1つ他のシェフにはできない高級料理を作れと言われると、逆に難しい、というタイプに分かれると思います。
私なんかは専門学校で翻訳道を究める、というよりも、ひたすら数をこなして経験を積んできたので、どちらかというと「ファミレス系」かな?
最近は機械を併用した「ファーストフード系」の翻訳も登場していて、こちらの精度も上がってきているということなので、ファミレス系としては今後どうやって差別化していくか?工夫が求められるところだと思います。
専門知識を増やして「板前」的一品もこなせる翻訳者になる方法と、機械をうまく取り入れて効率化を図る方法がありますが、まあ両方のアプローチを勉強していくのが効果的なのかな。
技術や時代の変化に伴って、翻訳者のあり方、仕事の仕方というのも変わって行くから、変化についていく努力が必要ですね。
あと、海外の会社の場合、魚を丸一匹差し出されて「好きなようにさばいてみな」という感じの依頼が来ることが多いですが、日本の会社から仕事が来る場合は、「この部分は、この調味料を使用。この部分は、この部位を使用」みたいに、事細かく指示が決まっていることが多いような気もします。
ところで、今回のようなことを以前もどこかで言ってたことがあるような気がすると思ったら、かなり昔に通訳翻訳ジャーナルの「翻訳者リレーエッセイ」に寄稿させていただいたときにも、翻訳と調理についての関連性を語っておりました。
翻訳は素材をいかに 調理するかが決め手
うーん、先月翻訳者をコーヒーミルにたとえた記事を書いたことといい・・・(過去記事はこちら )。
私の書くことって、どうも食べ物との関連付けが多いなぁ。
食い意地が張ってるってことでしょうかね・・・。
でも、おいしいものを食べると、体も心も満ち足りた幸せな気分になりますよね。
翻訳も、読んで下さった方の知性と心が満たされて、幸せな気分になるような、そんな仕上がりを心がけたいところです。
あ、結局また食べ物との比較になってしまった(汗)・・・。
きりがないので、今日はこの辺でやめておきますね。

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翻訳者とシェフとの共通点」への1件のフィードバック

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    そう、ここが翻訳のむずかしさ、ScienceではなくArtだと言える部分ですよね。This is a pen を日本語にしてね、4ワードだから、すぐできるでしょ。って言われても、文脈、用途、背景、対象読者などがわからないと、これはペンです、でいいのか、それとも創意工夫が必要なのかわからない、で、’いろいろ質問を出すと、え、なんでそんなこと聞くの?たった4文字、こんな簡単な英語も訳せないの?だったらGoogle Translator使うから、もういいよ、ってことになったりして。
    翻訳とは、かくも奥が深い仕事です。
    あ、これ、私のブログにお借りしちゃおう!

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