その昔、テキサス大学の学生だった頃、日本に帰国したら絶対食べたいと夢見ていた食べ物のうち、3本の指の1つにいつもランクイン入りしていたのが、ラーメンだった。
日本ではあんなに手軽に誰でも食べている庶民の味なのに、なぜかその当時、テキサス州オースティンにはラーメンを出すお店が一軒もなかったのだ。
北海道出身の私にとって、ラーメンが食べられないということは、非常に辛い。
どうしても食べたくなったときは、ベトナム料理のフォーか、中華料理屋さんのエッグヌードルでしのぐしかなかった。
フォーもエッグヌードルもそれなりに美味しいが、ラーメンの代用と思って食べると、ちょっと侘しいのだった。
だから今回、久々にオースティンに舞い戻ってきた私が、今ではオースティンでも本格的な日本のラーメンを食べられると聞いたときに、どれほど舞い上がったか!!皆さんご想像ください。
オースティンでラーメンが食べられるなんて、世の中も変わったものだヾ(@°▽°@)ノ
これは絶対に行ってみなければ!!
だが、地図が読めず、車の運転が苦手で、伝書鳩のように同じコースを繰り返し行き来するだけで精一杯の私にとって、新しいお店を探し当てて車を運転して行くということは、結構ハードルが高いことだった。
特にダウンタウンは、急に一方通行になったり、路上の縦列駐車があるので、難関で、なかなか行けない。
そこに、今仕事をしている会社が、ダウンタウンでカンファレンスを開催することになり、ボランティアスタッフに応募すれば、会場までチャーターバスに乗せて行ってもらえるという朗報が舞い込んできた。
会場の近くには、いつか行きたいと思っていた「ダルマ」というラーメン屋がある。
しかも、会場から徒歩圏内。。。
これは、アタックチャーンス!
おーし、ボランティアになってチャーターバスでダウンタウンへ行き、ダルマのラーメンをランチに食べて来よう!と計画を立てた。
聞くと、同僚のAさんも同じことを考えているそうだ。
できれば一緒に行きたいところだが、シフトが合わないので別々に行くことに。
カンファレンス当日は、早朝からチャーターバスに乗って会場に向かい、ラーメンのことを考えながら、ボランティアスタッフとして、半分上の空で参加者のバッジスキャンをした。
お昼になったので、ダルマラーメンがあるというシックスストリート方面に向かって歩き出した。
ダウンタウンは碁盤の目のようになっているから、間違いようがないはず。
ブロック数を数え、目抜き通りであるシックスストリートにたどりつく。
あれ、この辺のはずなんだけどな~・・・
と思ったが、「ダルマ」があるはずの場所に、なぜかド派手で漫画チックな芸者さんの絵の看板があり、「GEISHA」と書いてある。
・・・なんでゲイシャなの??
ちょっといかがわしい雰囲気だが、ランチメニューにラーメンの写真も飾ってあるし、ひょっとしてオーナーさんが変わっちゃったのかな?
・・・と思って、とにかくゲイシャ店内に入った。
中に入っても、何か雰囲気が怪しい。
日本からのお客さんをダルマに連れて行ったと聞いていたのに、店内には誰もいない。
メニューにも一応寿司とか書いてあるが、他のメニューを見る限り、オーナーさんは韓国人のようだった。
まあ、ラーメンを食べに来たので、初志貫徹でスパイシーラーメン(ピり辛ラーメン?)を注文する。
すると、ラーメンを頼んだのに、前菜としてみそ汁(レンゲ付き)が先に出てきた。
何か変だ。
しかし、みそ汁を飲んでしまわないと、次を持って来てくれない感じなので、レンゲでみそ汁を口に運ぶ。
ほどなくラーメンが運ばれてきた。
これも何か変だ。
箸で麺をつまんでみても、妙に縮れていて、インスタントラーメンをゆですぎたような・・・
・・・というか、「ような」じゃなくて、本物のインスタントラーメンだ!と気づくまでに、そんなに時間はかからなかった。
何てことはない、韓国の「辛」ラーメンそのものだった!
ありえない!!
ダウンタウンのレストランで、辛ラーメンを出して、4ドルも請求するなんて、悪質極まりない!
怒りがおさまらず、途中で水を注ぎ足しに来た店員さんにも、非難のまなざしを向ける私。
「Is everything OK?」と聞かれる。
全然オーケーじゃねえよ。
しかし、相手はこちらの立腹に気付いているのかいないのか、全然動じている様子がない。
もう既にインスタントラーメンに4ドルも払っているのだから、チップなんてくれてやるものか。
会計のときに、告発するつもりで、「ねえ、あのラーメン、インスタントでしょ?」と意地悪く言ってみた。
フフフ、隠そうったってそうは行かないわよ。
ところが相手は悪びれもせずに、うなずいて「そうよ」と、言うではないか。
何その開き直り?!
全然隠してない!
ますますありえない!!
せめて「申し訳ございません」ぐらい言ってくれてもよさそうなものなのに・・・
完全な敗北。
あ~あ。
オースティンのラーメンなんて、結局はこの程度だったのか・・・
と、私は大きく失望して、再びチャーターバスで帰路についた。
だが、自分のデスクに戻っても、ムカついて仕事にならない。
愚痴を聞いてもらおうと思って、Aさんのデスクへと押しかけた。
穏やかな顔で仕事をしているAさんに向かって、鼻息も荒く、
「ねえ、Aさん、ラーメン食べました?」
と言うと、
「ええ、食べましたよ」
と平然と言うではないか。
「・・・どう思いました?」
「え?普通に美味しかったですよ」
はあ?
「えっなんで?あのゲイシャっていかがわしいお店ですよね」
「えっハンナさんゲイシャに行っちゃったの?!」
「だってダルマがあるはずのところが、ゲイシャって日本料理屋に変わっていましたよね」
「ダルマありましたよ、ゲイシャの横に。ちょっと控え目な看板だから、よく見ないとわからないけど、ゲイシャの隣にちゃんとあったよ」
・・・・・・
ガーーーーーーーン(゜д゜;)・・・
まさか日本料理屋が2軒続けて建っているとは思わなかった。。。
ダルマのまん前まで行っておきながら、横の派手な看板に気を取られ、怪しい「ゲイシャ」に行ってしまった私・・・。
そして本物のラーメン屋の横で、辛ラーメンを食べて憤っていた私・・・。
もうあんまりマヌケで涙が出そうになってきた。
ひょっとしたら、「ゲイシャ」も、お隣の本場のラーメンと対抗しても勝ち目がないと思って、インスタントを出していたのかも。
もしそうだとしたら、ラーメンに力を入れていないのも無理もない。
結局のところ、頼んだ私が悪いのだ。
Aさんは涙目の私の前で、噴き出しそうな表情をこらえながら、「ハンナさん、これはリベンジしなければね。明日はここからそんなに遠くないところに、道ラーメンってもう一軒ラーメン屋があるから連れて行ってあげましょう。近くに韓国系のベーカリーがあるから、帰りに日本のパン屋さんのようなパンも買える」と、ありがたく慰めの言葉をかけてくれた。
何と皆さんやさしいのでしょうか(泣)・・・。
しかしなあ・・・。
こういうサザエさんが、何で犯罪社会のアメリカで暮しているのか、時々わからなくなる私であります。
まあ、「ダルマがゲイシャになった」(と思った)という誤認識が、正しく訂正されたことは感謝でした。
というわけで、私のオースティンでのラーメン屋初体験は、「本機の致命的エラー」にて幕を閉じました。
次回こそは絶対に、地図が読める人と一緒にダルマへ行って、雪辱を晴らすぞ~!と誓ったのでした。
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笑いました!
リベンジ、できたかな?
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読者になってくれている「ま」さんも、ラーメンがお好きなようで、しょっちゅうラールンの写メを載せているようですよ。
タイトルの意味が読んでみてわかりましたwww
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>akichanさん
はい、リベンジしました!今度証拠写真を載せますのでお楽しみに~。いつもありがとうございます。
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>てのりえびさん、こんにちは。「ま」さんご紹介ありがとうございました。早速遊びに行って、相互読者登録していただきました。これからはラーメンが食べたくなったら、「ま」さんのブログに行きたいと思います。間を取り持っていただいて、どうもありがとうございました。
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ふはははは!!画面の前でつい笑ってしまいました。私もそういううっかりミスが非常に多いので、お気持ちは分かります!しかしオースティンにそんなに美味しいラーメン屋ができたなんてすごいですね。そして辛ラーメン(韓国だし!)を出して、しかもそれをインスタントだって認めちゃうGEISHAもある意味すごい店だ。ロンドンも一昨年くらいにラーメンブームが到来したそうで、けっこうちゃんとしたのを出す店もあるみたいなので、チャンスがあったら行ってみたいです。
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。+゚☆゚+。★。+゚☆゚記事読んじゃいました。応援したくなっちゃったのでペタの代わりにコメント書いていきます(*'ω'*)また遊びに来ますね♪頑張ってください。+゚☆゚+。★。+゚☆゚
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>さっちまんさん、コメントありがとうございます!もうすごいサザエさんでして・・・でもさっちまんさんは全然そう見えないけどなあ。辛ラーメンもびっくりですが、サンアントニオとオースティンに支店がある「スシズシ」という店では、蕎麦を炒めた「焼きそば」を出してます。怖いですね~。ロンドンだったらいろいろ美味しいお店がありそうですね。
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>マイさん、こんにちは!ブログに来ていただいてありがとうございました。マイさんのブログにも遊びに行ってきましたよ。マイさんも海外お好きなんですね。お互い楽しくがんばりましょう。また時々遊びに行かせてくださいね。ありがとうございます。