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ハッピータイム・ドライビング・スクール体験記(7)(終)

皆様、こんにちは!
全7回に渡ってお送りしてきた「ハッピータイム・ドライビング・スクール体験記」・・・
実況中継形式で、現場の空気をできるだけそのままお伝えしようと努めたつもりですが、いかがでしたでしょうか。
今回は、最終回ということで、自分なりの感想など、述べてみたいと思います。
さて、交通違反切符を切られて、不安と期待の中、クラスに足を運んだ私でしたが・・・。
こんなにユニークで、ちょっと大げさですが、人生観が変わるような経験をするとは思いませんでした。
無邪気に「ああ、楽しかった~!」と授業を満喫した一方で・・・。
何だかちょっと、「やられた~!」というような感じがしたのも事実です。
実を言うと、私は大学院で教育学を専攻しておりまして・・・。
教員免許も取りましたし、実際に英会話スクールやアメリカの大学、そして日本の中学校などで英語や日本語を教えた経験もありました。
さすがに最近は、教壇に立つことはなくなりましたが、教えるということについて、教育を受けてきたという自負心があったのです。
ですが、白状しますと、そんなふうに何年も先生をしてきたにも関わらず・・・
今回のマット先生みたいに、生徒の心をわしづかみにして離さないような授業をしたことが自分はあっただろうか、と振り返ってみますと・・・
正直言って、まったく自信がありません。
生徒の個人的経験を盛り込みながら、授業を展開していく、という、マット先生の授業の進め方は・・・
「インタラクティブな授業」という、私が大学院で教わった、効果的とされている教授方法の定義に当てはまるものです。
「インタラクティブ」というのは、「双方向」とか「対話型」とか、いろいろな訳し方がありますが、まあ一口に言えば、生徒との交流を通じて授業を進めるという方法です。
で、特に外国語を教える先生は、生徒が飽きることのないように、いろいろなパフォーマンスを交えつつ、手を変え品を変えて授業を盛り上げようとするわけですが・・・
マット先生は、ジェスチャーゲームを取り入れたり、不適切な表現を敢えて使って笑いを取ったりして、6時間もの長い授業なのに、生徒の心を捉えて離さない「エンゲージング」な授業をしました。
しかも威圧感や強制がまったくなく、生徒が自主的に参加するように、うまく導いていた。
これって、すごいことだと思うのです。
私のように大学院へ行ったり、教員免許を持っているようには見えない、全然先生らしくないマット先生に、一本取られた思いです。
それに、「勉強」というと、難しい顔をして、苦しみながら、人生の先輩に教えていただかないと身に着かない、という印象が強いですが・・・
この点についても、今までの価値観を覆された思いです。
だって、ただヘラヘラとバカな冗談を言って遊んでいただけではなく・・・
授業に参加しただけで、今まで書いてきたような知識が身に着いているのですから・・・。
今回の体験談、私、一切ノートを取っていません。
「筆記用具持参」とも書いてありませんでしたし、他にノートを取っていた人もいなかったと思います。
もちろん、ブログで余すところなくお伝えしようと思って、熱心に受講したという部分もありますが・・・
でも、こんな年配の私でも、ノートを取らずに、日数が経過した今でもこれだけのことを鮮明に覚えていられるというのは、授業が効果的だった印だと思うのです。
いや~、
教育のあるべき姿って、
一体何なんだろう・・・。
・・・ということを、つくづく考えさせられてしまいましたよ。
最後に、この「ハッピータイム・ドライビング・スクール」について、ネットでちょっと調べてみたところ、ここテキサス州オースティンの地元紙「ステイツマン」で、一年ぐらい前にこの学校のことが取り上げられていたことがわかりました。
英語記事ですが、興味のある方はお読みください(リンクはこちら)。
この記事で取り上げられていたのは、マット先生ではなく、ナンシー・リードというもう一人の先生のこと。
ナンシー先生は、1987年から活動している、プロの現役のスタンダップ・コメディアン。
1992年から「ハッピータイム」で教えているベテラン。
1994年には、オースティンの優秀なコメディアンに贈られる「Funniest Person in Austin」賞の最優秀賞を受賞しています。
プロのコメディアンである先生にとって、ドライビング・スクールでの授業は、ありとあらゆるタイプの観客の反応を生で感じられる、貴重な舞台。
誰もが来ることを望んでいない、題材的にはつまらない授業で、必要なことを教えつつ、いかに生徒を笑わせるか。
コメディアンとしては、腕の見せ所と感じるようです。
ナンシー先生は、ハッピータイムで教え始めた頃、2人の子供を抱えるシングルマザーで、全国ツアーなどにも思うように参加できなかったとか・・・。
そんなときに、ハッピータイムでの仕事は、固定収入になり、腕を磨くいい機会にもなった、と言うことです。
生徒にとっても、先生にとっても、「ハッピータイム」は貴重な学びの機会になったのですね。
そして、この記事でもナンシー先生のコメントとして、
「長い授業なんだから、苦しみが少ない方が、学んだことが記憶に残りやすい」として、
「The punishment is mandatory, the suffering is optional」
(処罰を受けることは免れないけれど、苦しむかどうかは選べること)
と言っていたのが、とても印象に残りました。
「処罰=苦痛」と決めつけない考え方も、世の中にはあるんですね・・・。
そして、学んだことがこんなにしっかり記憶に残ってしまう「笑いの力」って、すごいんだなぁ・・・と、感心してしまいました。
いや~、こんな記事を読んだら、何だかナンシー先生の授業も受けてみたくなってきちゃいましたよ。
交通違反切符は欲しくないけど・・・。
・・・ということで、私にとっては、ありとあらゆる意味で奇想天外で、非常に収穫の多い貴重な経験となりました。
いい意味で期待を裏切られました。
皆様は、どのような感想をお持ちになりましたか?
・・・あと、余談になりますが、授業が終わってから数日後に、「受講修了書」とやらが送られてきました。
「修了書」というから、賞状みたいに立派なものが送られてくるのかと思ったら、ペラペラのカーボンコピーが一枚送られてきただけ。
こちらも想定外・・・。
この証明書と運転記録を取り寄せて、裁判所に提出したところ、窓口のお姉さんにべたべたとスタンプを押され、「You are all set!」(これで終わりよ!)と言われて、終わりになりました。
これで手続き的にも一件落着です。
皆様も、一緒に心配してくださったり、笑ってくださったり、声援を送ってくださって、本当にありがとうございました。
少しでも、楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからも、面白い体験などがありましたら、シェアさせていただきたいと思いますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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いつも応援ありがとうございます~♪

ハッピータイム・ドライビング・スクール体験記(7)(終)」への6件のフィードバック

  • baba-neko

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    7回シリーズ、読みごたえがあったです!
    前回のマック先生の写真、なんだか想像どおりだったので、むふふ やっぱりぃ と笑っちゃいました。
    日本ではこの種の講習会では考えられない教え方。
    午後の講習にランチのバフェのおかわりを食べながらっていうのも、笑っちゃう。
    成績とかが関係ない講習ということもあるでしょうけど、本来の「ゆとり」を感じたりしました。
    本当にカルチャーショックだわ。

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    私も教育学専攻で日本の教員免許は小学校と中学、高校ともっていて、日本の現場でも教えたし、こちらでも日本語とか日本とビジネスをする方法などをコミュニティカレッジレベルから企業まで教えましたが、それでも、こういうトラフィックスクールやドラッグプリベンションなどの講師には勝てないとつくづく思います。何しろ違反のチケットをもらったからいやいや来る人たちを相手にしておきながら、それもけっこう長い時間にわたる授業を「あー面白かった、ためになった、また来てもいいわあ」みたいな気持ちにさせるってすごいことですよね。
    ブログが上手だったからマット先生の魅力もがんがん伝わってきましたよ。ほんと、機会があったらよろしくお伝えくださいって、言っても、もう違反チケットはもらいたくないでしょうから、一生マット先生には会えないかもね(涙)。
    それにしても7回の連載、楽しかったです!

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    >baba-nekoさん コメントありがとうございます!本当にばば猫さんがおっしゃる「ゆとり」という言葉がぴったりだと思います。私もことごとく既成概念に反することばかりで、ほんとびくりしました。
    毎回応援していただいて、ありがとうございました。

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    >akichanさん あー、akichanさんも教育のバックグラウンドをお持ちだったんですね。何だか似てますね。笑 ほんとこんなの経験してしまうと、自分は教師としては半人前だったなあと思います。コメディアンが先生やった方がいいんじゃないかと思ったり。
    忙しい一ヶ月でしたけど、続きが読みたい!の一言にどれだけ励まされたか。おかげで連載を終えることができました。どうもありがとうございます。

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