進化していた北海道弁

/ 翻訳者・著述家

アメリカに来て間もない頃、新しくできたアメリカ人の友人の家に行くと、その友人の叔父さんとか遠い親戚が出てきて、第二次世界大戦後に日本に駐留していた頃の話を懐かしそうにしてくれることがあった。
日本について好ましい印象を抱いておられるようで、私のことを大歓迎してくれるのはありがたいのだが、その方の披露する日本語が、私が知っている日本語と比べてかなり古いのに苦笑させられることがあった。
満面の笑みで「銀座カンカン娘」を歌ってくれたり、駐留していた当時の流行語などを得意げに披露されると、「そんなの今使われてないですよ」と内心思いつつ、指摘するのもその方の大切な思い出に水を差すようで悪いかなと思い、「あいまいな日本の私」となって、アルカイックスマイルというのか、埴輪のような笑みを浮かべてお茶を濁す私であった。
・・・ああいう時代錯誤のイタいオジさんみたいにはなりたくないなあ・・・
と肝に銘じ、言語のスペシャリストである以上、言葉の変化には敏感になろうと決めたのだった。
言語が日々変わって行くのは身に沁みて感じていたから、アメリカにいるときはできるだけ日本語のテレビを見たり、日本の本を読んだりして、日本の最新情勢や流行から取り残されないように心がけた。
今の時代はインターネットもあるし、昔と違って日本の情報も得やすくなっている。
海外にいた、という言い訳が通用する時代ではない。
日本の翻訳会社も変な顔もせずにお取引をしてくださるし、日本語が古いとか変という理由でトライアルに落とされることもなかったので、そこそこ遅れを取らずについて行けていると思っていた。
しかし、盲点があった。
アメリカで10年近く生活して、北海道へ戻った頃のことだ。
私は18歳で東京の大学へ出るまで北海道で暮した道産子である。北海道に帰ると、周囲の人が北海道弁をしゃべっているので、最初は標準語でしゃべっていても、いつの間にか引き込まれ、北海道弁になっていく。
住居として選んだ場所が富良野という田舎だったこともあり、18歳で北海道を出たときと比べて、戻ってきてもあまり違和感はなかった。札幌であればカルチャーショックを受けていたかもしれないが、富良野であれば、北海道を出た当時の昔ながらの雰囲気が残っている。割とすんなり溶け込めたつもりで、昔覚えた北海道弁もスムーズに出てきていると思っていた。
ところが、ある日旭川でタクシーに乗って、携帯で母としゃべっていたときのこと。
車を降りてお会計をするときに、私のしゃべり方が耳に入ったのか、運転手さんがもうガマンできないというようにぶわーっと笑い出した。
そして涙を流すほどゲラゲラ笑いながら、こう言ったのだ。
お客さ~ん、今どき「そーかい、そーかい」なんて相槌を打ってる人、北海道にはいないよ。
・・・えっっっっ???
。。。ガーン・・・!(´Д`;)
顔から火が出そうだった。
標準語の変化には対応しているつもりだったが、北海道弁も変わっていたとは・・・。
テレビを見ているだけでは、標準語を聞いているだけだから、北海道の日常的な方言の変化はわからなかったのだ。
う~~~~む。
そうなんだー。
今は昔みたいに、「そーかい、そーかい」という相槌は打たないんですね。
北海道弁も、進化(退化?)していた・・・。
そして、ボロが出ていたのに、頭隠して尻隠さずの浦島花子だった私・・・。
あー、恥ずかしかった。
そのときは穴があったら入りたいと思ったが、指摘してくれた運転手さんには感謝している。
指摘してくれなかったら、他の場所でも「そーかい」を連発していたかもしれないと思うと冷や汗である。
いやー、方言はテレビになかなか出てこないだけに、格別の注意が必要ですね・・・。
北海道の皆さん、今度帰ったときに変な北海道弁をしゃべっていたら、教えてくださいね。
くれぐれも「イタいオバさんだ。そっとしておいてあげよう」なんて思わないように、お願いします。
絶対に気を悪くしたりしませんので・・・。

「進化していた北海道弁」への 4 件のコメント

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    記事を参考にさせていただきましたヽ(´▽`)/新しくブログを立ち上げて、ヤバいスレッドの事など書いてます!また遊びに来ますね♪いきなり失礼しました!

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    >うーちゃん@幸せです♪さん
    コメントありがとうございます。ブログ遊びに行ってきました。とってもかわいいブログですね!また時々遊びに行きますね。これからもよろしくお願いします!(-^□^-)

  3. SECRET: 0
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    >ぷるぷるさん
    こんにちは!ブログ遊びに行ってきました。参考になるところがたくさんありました。またうちにも遊びに来てくださいね!これからもよろしくお願いします!

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