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海外在住の日本語翻訳者とつながることのメリット(2)

今日は、前回の「海外在住の日本語翻訳者とつながることのメリット(1)」の続きをお話ししたいと思います。
海外在住の日本語翻訳者と仕事をすると、いろいろとメリットがありますが、ここでは具体的な事例を3つほど挙げてみたいと思います。
1. 時差を活用できる
短納期の急ぎの案件の仕事が来て、徹夜しないと1人では終わらせられないようなときに、海外に住んでいる仲間に声をかけて、分担して仕事を片付けたり、リレーで翻訳を仕上げることができる。夜寝る前に途中まで終わったファイルを仲間に送ると、寝ている間に仲間が翻訳を進めてくれる。朝起きると、さらに翻訳が進んだファイルが受信トレイに入っているので、バトンタッチしてそこから続きを始める。
チームを組む相手は、これまで一緒に仕事をしたことがあるので、互いの実力や得意分野がわかっており、「この案件ならこの人が得意そうだな」と言う、大体の見当が付く。エージェントを通して正式に仲間に連絡を取り、発注書を出してもらうこともできるし、クライアントやエージェントから許可がもらえれば、自分の仕事の一部を他の翻訳者に回してあとで精算してもいい。優秀な翻訳者を紹介したということで、エージェントから感謝されるというおまけもつく。
2. 海外取引で問題が起きたときに、頼りになることがある
以前、ある大型案件を手掛けたときに、支払が1年近く遅れたアメリカの翻訳会社があった。何度催促のメールを出しても、なしのつぶて。思い余ってアメリカ在住の翻訳者の1人に相談すると、その方の知り合いにエンドクライアント(エージェントではなく)の会社に勤める日本人トレーナーがいた。その方を通じて問い合わせてもらったところ、エンドクライアントは既に翻訳会社に支払を済ませていた。つまり、翻訳会社のところで翻訳者への支払が滞っていたのである。
エンドクライアントから「こんなに時間がたっているのに、実際に仕事をしてくれた翻訳者にお金が届いていないとは、何事か」とお叱りを受けた翻訳会社は、その後まもなく支払をしてくれた。
あのとき、翻訳仲間の紹介で知り合った、エンドクライアントの会社で働く日本人トレーナーが口をきいてくれなかったら、支払はさらに遅れていたかもしれない。
このような困ったことは、実際にはめったに起こらないが、問題やクレームが起きたときに、クレーム対応の英文メールを書いたりしなければならない場合にも、海外在住の翻訳者はそのような経験が豊富だと思うので、書き方などを相談してみるといいかもしれない。
3. 災害などの緊急事態に対応しやすい
2011年3月の東日本大震災のときに、被災したり計画停電などで仕事を続けられなくなった日本在住の翻訳者の仕事を、海外在住の翻訳者が引き継いで納期に間に合わせていたことは、あまり知られていない(と思う)。
2011年3月11日、あの震災が起きたとき、私は北海道富良野市の自宅にいた。耐震構造でびくともしないはずのツーバイフォー工法の家が左右にゆさゆさと揺れ、その後しばらく、固定電話と電気が使えなくなったが、幸いインターネットだけはすぐに復旧した。
取引先の1つに、福島県の翻訳会社があり、安否が気になったが、幸い7時間後にインターネットが復旧したと連絡が来て、無事を確認できた。ただ、その後、被災して別の土地に引っ越した翻訳者や、計画停電の影響で、しばらく普段どおりに稼働できない翻訳者が出て、翻訳者不足になった。
この間に締切を落とすことがないように、通常よりも多く働いてくれたのが、海外在住の翻訳者だった。日本在住の翻訳者ができなくなった仕事を引き継いで、納期に間に合わせてくれたのである。
震災をきっかけに、日本の会社と取引を始めた海外在住の翻訳者もいた。
日本国内の翻訳者だけで対応しようとしたら、きっともっと大変だっただろうと思うが、海外在住の翻訳者が手を貸してくれたおかげで、仕事に支障を来すという最悪の事態を免れることができた。
翻訳者はどうしても「縁の下の力持ち」的な要素が強く、控え目な人が多いので、このような話があまり表に取り上げられることは少ないが、このように海外在住の翻訳者の見えない力に支えられて、窮地を乗り切ったこともある、ということを、私はぜひ伝えたいと思う。
日本と海外の国々との物理的距離は変わらないが、グローバリゼーションが進み、ネットの世界が広がるにつれて、文化的・心理的距離は縮まっているように感じられる。
日本在住の翻訳者と海外在住の翻訳者が、お互いに弱いところを補い合いながら、助け合ってつながって行けば、最強のチームを作ることも夢ではないと思う。
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海外在住の日本語翻訳者とつながることのメリット(2)」への2件のフィードバック

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    わたしは海外の翻訳会社から、支払をまともに受けられなかったということはこれまでありません。
    国内であれば、1 件、売り掛けがあったりするのですが・・・(もう何年も前の話で、しかも数万円、かつ以前からの付き合いの会社で、窮地に陥っていたところだったのでもう何も言ってませんが。
    あ、ただ、某国 (とだけ言っておきます) のとある会社は、こちらが催促しても送金してこないということがありました。
    忍耐力に欠け、クレーマー精神旺盛なわたくしは、「ディレクトリにチクるぞ」と文句を書いたところ、「何でそんな意地悪なことを・・・」的なメッセージとともに、送金してきましたw

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    >てのりえびさん
    さっき返事を書いて送信したつもりでしたが、無効になっちゃいました。長すぎたのかな(泣)・・・。まだ慣れてなくて、アホなことしちゃうんです。
    そうそう、海外でも大体のところはきちんと払ってくれますよね?
    私はこれまで、踏み倒されたのは2件ぐらいかな?あとは、2年ぐらい待たされて、諦めていたら、3年後にいきなり入金されたということがありました。わからんもんです。
    いずれにしても、一番弱い立場のフリーランスを大切にしてくれない会社は、その方針自体がいただけませんよね~。
    今度はうまく投稿できることをいのりつつ・・・

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