影武者としての翻訳者

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イカロス出版「通訳翻訳ジャーナル7月号」時間術の特集で掲載されました!

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皆様、こんにちは!
お元気でお過ごしですか?
前回のブログで、インスタグラム開設についてお知らせしたところ、早くもフォロワーになってくださった方がいらっしゃいました。
どうもありがとうございます!
皆様のお役に立つ実用英語(とカフェの写真)を中心にアップしてまいります。
勉強になった!というものがあれば、そちらを重点的にカバーして参りますので、「いいね」していただければ幸いです!
(インスタグラムのアカウントは「holeyflower」です)。
・・・さて、今日は久々の仕事ネタ。
先月は、怒涛のような仕事の日々で、数多くの仕事をこなしたんですけど、その中に、ほんっっとにしんどかった大型案件が1件ありました。
いわゆる画像解析ソフトの製品紹介ホームページだったんですけど・・・。
ホームページをリニューアルするっていうから、一般読者向けのマーケティング寄りの原稿だろうと思って引き受けたら、えらい専門性が高かった。
医療・土木・天然資源・保安などいろいろな分野で既に使われていて、業界別バージョンが出ているので、専門性の高い業界用語が山のように散りばめられていました。
「医療」分野の製品と「土木」分野の製品とでは、原文が同じ英語でも日本語の訳出が全然違うわけです。
たとえばの話、「Search」って英語が、ある分野では「検索」だけど、別の分野では「捜索」だったりする。
だから同じ単語なのに、何度もしつこく調べないといけない。
加えて、既に日本語化されている製品もある一方で、日本語化されていないものもあり・・・
日本支社の有志の人たち(?)が翻訳したに違いないであろう(と思われる)、非公式の翻訳版もネットに出回っている。
そうなるともう、いろいろな用語・翻訳がうようよしていて、どこでどう統一すればよいのかわからない。
Chaos(混沌)の大海の中を、アップアップ、必死で泳いでいるようなお仕事でございました。
異常に調べものに時間がかかるので、作業想定時間も大幅オーバー。
夜な夜な髪の毛をかきむしりながら仕事をしていると、「かあさんの歌」の「ドナドナ」のBGMと共に、自分の羽毛を織り込んで機織りをする「鶴の恩返し」のイメージが頭に浮かんで来て・・・(古い?)
この仕事が終わる頃には、私も鶴女房のような哀れな姿になっているんじゃ??
・・・なんて、悲壮感漂う顔になっていた。
今思い返せば、どこかに恩返ししていたわけでもないから、ちょっとズレた連想でございました(汗)。
アホだね。
でもまあ、なんとかかんとか納品したときには、ヨレヨレだったのは事実でございます。
プロジェクトマネージャーから、「引き続き、ホームページにアップした原稿のQAをお願い!」とメールが来たときには・・・
「いやいやいや、他の仕事に遅れが出ているので辞退します!」と、私にしては珍しく、速攻辞退。
(しばらくこの仕事のことは忘れたい!)
・・・そんな気持ちでございました。
その後、実際二週間ぐらいその仕事のことは忘れていたんですが・・・。
先日、プロジェクトマネージャーからメールが来ました。
何じゃ?と思ったら・・・
私の代わりに原稿のQAをやってくださった翻訳者さんが、高い評価をつけてくださったそうで、そのコメントを転送してくださったのでございます。
「this is what he said: "I think the translation is very good.
I did not find any major errors in the translation."
So good job!」
・・・なんて書いてある!
マジですか?
・・・まあ、まずは喜んでいただけてよかった。
ベストは尽くしたので、それが評価されたことは嬉しい限り。
しかし、何がそんなに良かったのか、正直よくわからないのが情けない(泣)。
狐につままれたような気分であります。
できることなら、
「え~、つかぬことをおたずねしますが、何がよろしかったんでしょうか・・・」
と、逆に聞いてみたい・・・。
(さすがに聞けないけど。)
時々あるんですよね・・・
初めてのお客様で、何を期待されているかわからない。
なので、とりあえず無我夢中で取り組んでみる。
ただ、出来については、自分ではイマイチよくわからない。
そんな翻訳が(なぜか)絶賛されてみたり・・・。
そうかと思えば、反対に、「これは自信作!」と自信満々で納品したものが、真っ赤にレビューが入って返ってくることもあるんですよね。
よくわからない世界だなあと思います。
ただ、強いて言うと、「私の翻訳、すごいでしょ?」みたいな匂いがちょっとでも漂っていると、読者さんの鼻につくというか、敬遠される傾向はあるような気がします。
結局、翻訳者って、原著者の言いたいことを正確に伝えるのが仕事だから、黒子というか影武者みたいなものでしょ?
映画のスタントが丸見えになっちゃいけないのと同じように、翻訳者が目立ちすぎてしまうのは、読者さんにとっても違和感を覚えることなんだろうな。
言ってみれば、読者が翻訳だということを忘れてしまうぐらい、翻訳者は「見えない」のが、あるべき姿なのかもしれません。
ちょっと透明人間みたいですね。
今回、高評価をいただいたお仕事も、自分の「強み」というか、「個性」を差し挟む余地が全くなくて、ひたすら距離を置いて、英語を正確に伝えることに徹したのが逆によかったのかも・・・。
力みすぎて「自分」が強く出すぎると邪魔になる。
とは言え、「こんなの面白くない/どうでもいい」と思って投げやりな仕事をすると、それはそれで見事に翻訳に出てしまうんですよねえ。
適度な距離感と客観性を失わず、一方で真摯な姿勢も崩さない・・・
そのバランスというか、「塩梅」を見つけるのが、プロとして大切なのかな・・・と思った次第です。
お読みいただいて、ありがとうございました!

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