ハジメテノニホンゴ

/ 翻訳者・著述家

今、出入りしている大きい会社のエンジニアの社員(アメリカ人)が、来月日本へ行くことになり、準備のために日本語を練習させてほしいと言ってきたので、週1回、日本語会話ランチをしている。
正式に勉強したことはないという割にはとても上手なので、どうしたのかと聞いたら、子供の頃、日本人一家の近くに住んでいて、よくそのお家におじゃましていたそうだ。
日本のテレビもそのお家でよく見せてもらっていたそうで、最初に覚えたフレーズが、「この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りします」だと言って、そのフレーズをさらっと言って見せてくれた。
たまたま、うちのダンナも、日本で最初に覚えたフレーズがそれだったので、「いや~、うちのダンナも水戸黄門を見ているうちに、それを最初に言うようになったんだよね」と言って盛り上がった。
コマーシャルのたびに繰り返し聞くし、始まるときと終わるときとで語尾がちょっと違うだけだから、すぐに覚えるのだそうだ。
懐かしいな~と思って帰宅し、ダンナに「この人もね、『この番組は…』を最初に覚えたんだって」と報告すると、「ボクのときみたいに、変な歌は教えてないだろうね」と言う。
「変な歌?」
「そう、とっても変な歌」
「何それ?」
「覚えてないの?」
「だから何を?」
ホンッッットに覚えてないの?」
・・・と、ダンナは呆れたような顔をして私を見ると、大きく深呼吸をしてから、おもむろに次のように歌い出した。

♪みっちゃん、みっちみっち う○こた~れて~
かーみが ないので 手で拭いて~
もったい なーいから 食ぁべちゃった! ♪

・・・・・・
音程も、リズムも、完璧だった。
彼は普段オンチな人なので、これだけ完璧に歌うとは、相当練習をしたに違いないと思われた。
「なぁにそれ~!なんでそんな歌練習したのぉ~?」
と聞くと、
「キミがこれしか教えてくれなかったんじゃないか」
と言う。
「キミが日本に帰る前に、『日本の子供の歌を教えてあげる』っていうから、どんな素敵な歌を教えてくれるのかと思ったら、これだったんだ」という。
・・・・・・。
何を考えていたんだ私は・・・(-_-;)
日本に憧れる純粋な青年をつかまえて、最初に教えた日本の歌が、コレだったとは・・・。
他の日本の歌を知らず、意味もあまりわからず、遠い海の彼方の日本を思いながら、必死で「みっちゃんみっちみっち」を練習する、若き日の彼の姿が頭に浮かんだ。
・・・哀れだ・・・。
どうせ練習するのなら、かわいく「ぞうさん」ぐらいにしておけばよかった・・・。
できることなら、彼の頭の「復元ポイント」に戻って、「ぞうさん」への上書きを試みたいところだったが、若き日に習得した「みっちゃんみっちみっち」は、彼の頭の中に刻印のようにしっかりと刻み込まれているのだった。
気を取り直して、
「・・・で、その後、日本語勉強して、意味がわかって、どう思った?」
と聞くと、
「日本の子供って、ひどい(Nasty)んだな~と思った」
と言う。
違います・・・
ひどいのは、日本の子供じゃございません。。。
この でございます。。。
しかし、彼が若い頃に、「ひどい→私」であることに気付いていたら、彼は私とは一緒にいなかったかもしれない。
そう思うと、彼の勘違いに、ちょっと感謝した、相変わらず「ひどい」私なのだった。

「ハジメテノニホンゴ」への 1 件のコメント

  1. SECRET: 0
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    最近いろんな方のブログを見て勉強しています♪参考になるかわかりませんが、僕は会社員の方の為になるような記事をたくさん書いてます♪お邪魔しました!また読みにきますね♪

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