ALT(外国人指導助手)の副次的影響

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10月15日『写真で見る 看板・標識・ラベル・パッケージの英語表現』がクロスメディア・ランゲージ様から発売になります。どうぞよろしく!
写真で見る 看板・標識・ラベル・パッケージの英語表現

皆様、こんにちは!ランサムはなです。

このところ、よく大学に就職説明会などの案内が届いています。そろそろ卒業後の進路を考える時期なんですね。日本語専攻の学生向けに、JETプログラム(外国語青年招致事業)の説明会も開催されました。

このプログラム、日本国内では「JET」というよりも、「ALT」(外国人指導助手)という名称の方がよく知られているかもしれません。

JETプログラムに合格し、ALT(外国人指導助手)またはCIR(国際交流員)として日本に派遣してもらうことは、日本語専攻の学生にとって究極の憧れのようです。

うちは夫もJETプログラムで派遣されていたことがあるし(かなり前の話ですが)、私も教員として日常的にALTと接していたこともあり、いろいろな側面を知っているので、そんな「憧れ」という捉え方をされていることに、「はぁ?」ってびっくりしちゃうんですが・・・。

でもまあ、20歳前後の日本と何の接点もない学生が「日本に行きたい!」って思ったときに、大学に正式に案内が来ていて、政府がスポンサーになってくれて、住む場所も給料も身分もビザも確保されている・・・というのは、確かに非常に魅力的に違いないでしょうね。

過去にJETプログラムに合格できなくて、うつになっちゃった学生もいたと聞いて二度びっくり。日本語を専攻するこちらの学生にとっては、やはり憧れの登竜門というか、かなり狭き門なのですね。

まあ、日本国内でのALTの評価もいろいろ意見が分かれるところがあるとは思いますが、私のように海外で日本に興味を持っている学生を育てる仕事をしている者にとっては、しっかり勉強すれば日本へ行って働ける制度がある、というのは、高い目的をもって勉強してもらうためにも非常にありがたいことです。

このJETプログラムですが、今までに何人ぐらいの外国人青年がこのプログラムを通じて日本に送り込まれているんだろう?と気になったので、ちょっと調べてみました。

JETプログラムの公式サイトによると、2017年度の参加者は5,163人。現在は最大5年まで契約を更新できるらしいので、契約更新者を含む数字ですが、いずれにしてもかなり多数です。そのうち米国からの参加者は、2,924人と半数以上を占めています。米国は一番の市場なのですね。これだけ参加者が多いと、新卒採用にも熱が入るでしょうね。こちらの大学の学生が憧れを抱くのも納得です。

JETプログラムは1987年から始まっていますから、もう30年以上も入れ替わり立ち替わり外国人指導助手が数千人単位で日本に送り込まれている(初年度は848人と少なかったようですが)というのは、数字にあまり強くない私でもすごいことがわかります。

こういう「草の根運動」的な活動を地道に長年続けていると、社会は少しずつ変わってくるんですね。

裏付けを取ったわけではないですが、ここ10年ぐらい外国人タレントや、外国人と日本人のハーフのタレントが多く日本で活躍するようになったのも、ALTなどを通じて日本全国で外国人に触れる機会が増えたことが1つの理由ではないでしょうか。

そしてその影響は日本国内にとどまらず、海外にも波及しているんじゃないか・・・と思い当たったんです。

JETに参加したALTが、日本での体験を小さい日本の「種」として自国に持ち帰り、それを育てようとしている可能性も大いにあるんじゃないか・・・って。

一例を挙げると、ここ数年、私が住むオースティンで続々ラーメン屋がオープンしています。

20年以上前、私が大学院生だった頃は、この界隈にラーメン屋なんて一軒もありませんでした。どうしても麺類が食べたい場合はベトナム料理のフォーやエッグヌードルで代用しなければならないほど、ラーメンは入手困難な食材でした。

それなのにここ最近、雨後の筍のようにラーメン屋ができています。特にこちらの日本人人口が爆発的に増加しているわけでもないのに・・・です。

もちろん、ラーメンブームが到来した、と一言で片づけることもできますが、その背景には、「日本」という種を母国に撒こうとする人たちが一定数に達し、導火線の役割を果たした・・・と考えることもできるのではないでしょうか。

事実、JETプログラムの卒業生の多くは、卒業後も何らかの形で日本とのつながりを保とうとして、日本と関連のある仕事に就いている人が多いです。

母国に帰って日本語の先生になった人も個人的に数人知っていますし、私や夫のように翻訳者になった人もいれば、大使館や日系企業で働いている人もいます。異国での体験を生かして作家や政治家になった人もいます。

やはり大学卒業直後という多感な時期を海外で過ごすと、母国に戻っても渡航前と同じ生活をすることは、ありえなくなるんですね。

先日、アメリカの若い世代の車離れが進んでいるようだという話をブログに書きましたけれども、考えてみると、今の若い世代は、初代ALTたちが普通に結婚・出産していたら、その子供たちに相当する世代なんですよね。

若い多感な時期を日本で過ごし、車なしでも十分生活できることを身をもって体験した元ALT世代が、自分の子供たちに与えた影響が一因で、今の世代の車離れ現象が起きているのかも?・・・と考えたら面白いですね。

ALTに関しては、いろいろな批判を聞くこともありますが、彼らの存在は語学教育の枠組みを超えた影響力を持つものなので、日本を世界に広めるという意味でも私としてはこれからも続けてほしいと思う次第です。

一人でも多くの人に、日本のことを好きになってもらえますように。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

拙著『写真で見る 看板・標識・ラベル・パッケージの英語表現』発売まで、あと少しです!

10月15日発売ですので、お手に取ってご覧いただけると嬉しいです。

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