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社内翻訳者「卒業」の真相と旅立ち

皆様、こんにちは!
3回に渡ってお付き合いいただきました社内翻訳者体験記ですが・・・
今回で、一区切りとしたいと思います。
2年間、大きな違和感を覚えつつ、慣れない技術会社で私なりに奮闘し、「ハノン」ぐらいは弾けるようになった・・・と、自分では思うのですが・・・
卒業は、突然訪れました。
休暇明けに、私は個別面談ということで別室に呼ばれました。
「何だろう?」と思いながら行くと、そこにはジャイアンと、私の上司が二人。。。
・・・なんだかものものしい雰囲気です。
着席すると、ジャイアンが切り出しました。
「入社して二年間、お前の仕事ぶりについては、お前の上司から報告を受けてきた。
お前は、どんなにがんばっても技術的な力が足りないようだ。
そこで今日は、次の段階に進むことにする。
お前に2つの選択肢を与える。
1つ目は、今すぐにレベルアップして、今後一切ミスをしないと約束すること。
ミスを一切しなければ、今の条件で働き続けてもいい。
ただしこの条件は、ずっと有効だ。
つまり、今後1回でもミスをしたら、その時点で即刻解雇だ。
2つ目は、1ヶ月ぐらい後に穏便に辞めてもらうこと。
自主退社になるので、お前の経歴にも傷がつかない。
さあ、どちらを選ぶ?」
ええ~~~っ!
さすがに慌てましたよ。
「ちょ、ちょっと待ってください!!
同時期に入社した別の言語の翻訳者でも、まだ全然できないと言ってる人もいます!
なんで同期入社の人と比べてくれないんですか?
もう少し・・・もう少しだけ時間をくれませんか?」
思わず懇願する私・・・
すると上司が非情にも、
「そんなことはありません!
ハンナさんには、もう十分過ぎるほど時間を与えました!
エンジニアの子から、再三報告を受けているので、間違いはありません!」
・・・と、横から猛烈に反駁してくるではありませんか。
そんなぁ・・・(泣)。
だけど、このまま引き下がるわけには行かない。
月2万円の医療保険が、逃げて行きそうになってるんです。
水戸黄門の印籠が、遠のいて行く・・・。
「あの、せめて・・・
せめて、ノーミスでできないかやってみて、それでダメだったら辞めるってことは・・・できないんですか?」
と、必死で食い下がったのですが・・・
「悪いが、そういう選択肢はないんだ。
評価期間は終わった。
ここは議論の場じゃない。
さあ、レベルアップ+ノーミスか、自主退社か。
どちらを選ぶ?」
・・・・・・。
「・・・辞めます」
気が付くと、そう口走っていました。
・・・だって、現実的に考えて、他にどんな選択肢がある?
ノーミスなんて、ノーミスなんて、できるわけない。
あの浅田真央ちゃんにとってさえ、至難の業なんだよ。
「それはお前が決めたことなんだな?」と、念を押すジャイアン。
そっか、あくまでも私が、「自分の意思で選択した」ことにしないといけないんだね。
「まあ、大きな決断だろうから、今すぐに決めなくてもいい。
家に帰って、家族とも相談して、お前の上司に最終的に回答をしなさい。
以上」
ジャイアンは一方的に言い放つと、呆然としている私をよそに、席を立って帰ってしまいました。
どうしよう・・・
私はすっかり「のび太」と化して、しょんぼり会議室を出ました。
そりゃ、自分でも辞めるって思ってたのは確かだけど・・・
合わないって感じてたのもホントだけど・・・
・・・やっぱり、向こうから宣告されたのは、ショックだった。
くそぉ~・・・
体のいいこと言ってるけど、要するに、クビじゃねえか。
それならそれで、さっさと辞めさせてくれればよさそうなものを・・・
これから一ヶ月、何食わぬ顔でお勤めしないといけないってのも、私的にはよくわからなかった。
円満退社を演出ってわけ?
とりあえず、ダンナに知らせなきゃ・・・
・・・で、まずはダンナに電話。
「聞いてくれる?私、クビになった」と、報告すると・・・
「マジ??!!」とびっくりしている。
でも、「詳しいことは、帰ってから話そう。ショックかもしれないが、気を確かに」と、意外に落ち着いた反応・・・。
手短に電話を切って、自分のキューブに戻りました。
図書館みたいにしーんと静かで、カタカタとキーボードを叩く音だけが響く職場・・・
「何もなかったふり」をして、しばらく座っていたけど、
そうだ、フリーに戻るんだ。
仕事を探さなくちゃ・・・
・・・と思ったら、いてもたってもいられず、
いつも仲良くしていただいている、最強チーム(最強チームに関する過去記事はこちら)の常連メンバー、アリゾナ在住のYさんとノースカロライナ在住のMさんに、「大ニュースです!」とメールを書くことに。
「会社をクビになりました」ってことと、
「まあ自分でも考えてたことではある」ってことと、
「辛かったので、これでよかったのかな」ってことと、
「これからフリーに戻るのでよろしく」ってことを書きました。
「送信」を押した後、仕事に戻ろうと思ったけど、もともと面白くない仕事だから、身が入らない。
・・・悶々と座っていると、ほどなくMさんからメールが。
返事には、こんなことが書いてありました。
「うわー、ハンナさん、ショック!
でも、品質を犠牲にするような会社は、ずっといても意味ないよ。
医療保険がなくなるのは残念だけど、精神的な負担を考えたら、続ける価値はないですよ。」
続いて、Yさんからもメールが。
「2年間、本当にお疲れ様でした!
近くにいたら、祝杯をあげに駆けつけたい気分ですよ!
もう、陰険な上司も、いないんですよ!
1日24時間、自分のペースで仕事が進められるんです!
私としては、もうよかった、としか言えないですよ。
正直、今のスケジュールで仕事やっていたら、ハンナさんが倒れちゃうと思っていました。
さー、何かいい仕事を開拓して、一緒に仕事ができるようにしましょうね!」
・・・この2人からのメールを読んだときは、涙が出たね。
そうだ、私はこの会社ではダメなのび太だけど、外の世界にはドラえもんがいる・・・
私にとってのドラえもんは、最強チームの仲間たち。
これからみんなで、たくさんたくさん、仕事を取って行こう。
楽しくコラボしながら面白いプロジェクトをこなして行こう。
・・・ちょっと元気が出た私は、続いて、日本のMさんと、オーストラリアのMさんにも、同様のご報告をすることに。
日本のMさんは「ぼくも祝杯派ですね」、オーストラリアのMさんも「いろいろ大変でしたね」と言いながらも、「おかえり」ムードで歓迎してくれました。
家に帰ると、ダンナが「きっとこれは感謝すべきことなんだよ。辞めると言いながらふんぎりがつかずにいたところを、切ってくれたんだから。これはきっと、もっといいことが待っているに違いないという意味だよ」と励ましてくれました。
富良野のお友達のクミコさんも、「よかったっしょ。これで日本に来られるね」と言ってくれました。
フタを開けてみたら、「残念だ」と言う友達は、一人もいなかった。
そして、さらにすごいことに・・・
ドラえもんの最強チームは、口先だけではありませんでした。
クビになったことを伝えた週の週末から、チームメンバーの紹介で、続々と仕事が舞い込み始めたのです。
おかげで週末には、3件の仕事を抱えて、ヒーヒー言うはめに。
「ちょっと、あたしまだ会社一ヶ月勤めないといけないんだけど・・・」とこぼすと、
「ま、これからフリーランス一本なんだから、前祝いと思ってがんばってね!」と、嬉しいお言葉。
頼もしいなあ。
こうして、私は社内翻訳者を無事に「卒業」し、チームメンバーに支えられて、順調に再独立のスタートを切ることができたのです。
本当に、持つべきものは、友達ですね!
そう、これでよかったんだ。
これからは、頼りになる気の合う仲間と、いい仕事をバリバリこなしていこう。
さあ、新しい章の幕開けです。
次はどんな冒険が待ち受けているのでしょうか??
楽しみです!
お読みいただいて、ありがとうございました!

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社内翻訳者「卒業」の真相と旅立ち」への4件のフィードバック

  • baba-neko

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    そうか、そういう経緯だったのね。
    突然の退社の件、実は私も経験ありなのです。
    社内翻訳者の頃、以前から辞めたーいと翻訳チーム内で公言していたので、チームの人減らしの際に正社員で金がかかるし、本人が希望しているんならと、チーフに会議室に呼び出されて突然、言われました。
    やっぱり焦ったよ~。頭が真っ白になった。家計的にタイミングがすっごく悪かったし。
    でも、辞めたいって気持ちは本当だし。やっぱり、その気持ちを引きずってグダグダやってたわけだし。さらに公言していたんだし、自分の責任ですわ。
    取りあえずは(表面上は)自己都合での退社だし、チーフもそうしろと言うしで、30日以上余っていた有給を使って次の日から働かずに1か月分の給料をゲットしました。
    その後に知人から紹介され、トライアルなしで登録したのが今のメイン(唯一)の会社。
    何がどうなるか、わかんないもんだよね。
    フリーはフリーで不安定だし、不安な点はたくさんあるけど、ある意味でやっぱりフリーだものね。それにハンナさんは辞める前からお仕事ゲットできている。これは凄いことだと思う。ハンナさんの実力と人柄のなせる業ですよ!

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    >baba-nekoさん
    えー、ばば猫さんも突然退社の経験おありなんですね~~~。
    そうなの、辞めたい、辞めたいと言っていても、いきなりバッサリ切られると「ガーン」ですよね。こちらのタイミングをまったく考慮してくれないから、おろおろしちゃう。まあ、離婚みたいな感覚なんでしょうかね。
    でもほんと、フリーは不安定だけど自由だし、がんばればそれだけ手ごたえもあるしね。自分はきっと破天荒すぎて、籠の中の鳥は向いていないんだろうなと思います。ばば猫さん、これからまた、一緒に大空を飛びましょう!

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    たまに読みに来ていたんですが、思い切ってコメント書いて見ました!
    こういう感じの記事は共感できます!
    勉強になりました。またきます!

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    普段読んでるんですけど、はじめてのコメントです!
    内容に説得力がありますね♪
    是非、私のブログにも遊びに来てください♪

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